この写真の部屋は林二郎氏が90歳を過ぎてから建て替え、
晩年を過ごした作業部屋で木彫教室でリビングです。
林二郎が田園生活をするために銀座から世田谷桜新町へ
移り住んだのが大正時代。
それから戦争による疎開などありましたが戦後すぐにこの
用賀で木工所を購入し、その前に素敵な古民家を移築。
林二郎の歴史すべてが詰まった本当に落ち着く素敵な家を、
90歳を過ぎた林二郎氏は、あっさりとビルに建て替えて
しまいました。
まわりの人々が「せめて一部だけでも新しいビルに移築しま
しょう」との提案したのですが、頑なに断って。
常に次の作品に気持ちは飛んで、“作り終わったもの”には
興味がない師匠のその前向きな生き方こそ、いまいちばん
我々が学ばなければならないことだと私は思います。